銀練墨色

白と黒の間に世界は無限に在る

とりとめももない1日

六月の温度

雨の匂いのする午前 部屋のあちこちに生まれる 仄昏いもあもあ 闇に育つ前のちいさな塊 なにか懐かしい 子どもの頃の風邪のおふとんの中 遊びつかれた夕暮れの帰り道 会った気がする 馴染んだ温度の ちいさな昏いもあもあ

真昼の月

冬の薄い空のたかみ 月が静かに佇む いつもそこにいたのか それとも夜の舞台裏が 思いがけず垣間見えたか 瓶覗の薄青の上に 白く刻印されたような 真昼の月

変態【蛹の中の幼虫は安らかなのか?】

青虫の眠りが覚めたらすでに華麗なる蝶なのだという夢を蛹の中のモノはみていないそのような約束を神はしない殻は柔らかすぎて鎧にはならないあやふや過ぎてゆりかごにもならないただ、閉じるという意思表示にすぎない 閉じた世界にも外界の音は明確に透けて…

過去は今日の影

今日と明日は昨日の結果ではなくて 過去は今によって様々な価値をつけられる。 過去は変えられないどころか 過去は常に意味を変える。 過去は今日の影のようなものだ。 だから、今日も歩こう。

すとんとスイッチが入った

夏の幕引きはイキナリであった。 秋はすとんと心の真ん中にやって来た。 雲の形がまだもこもこしていても 肌に触れる空気は秋だ。 秋は戦闘の季節で 出し尽くす季節で 走る季節だ。 今は前しかみない。 いろんな事は三ヶ月後にふり返ろう。

夏の明け方にみた長い夢

個展前のアトリエのように雑然と散らかった夢だったが、いくつか印象的な箇所があった。 またも美大に在学中という設定だ。 10代に戻ったわけではなく、今の私で、そして筆を探している。 広く近代的な校舎の中でMさんに会い、立体作品を作るという彼女にス…

目的地の途中の降りたことのない駅で次の電車を待つ間

風の森という名前の美術館に 行く時間をやっと見つけた。 展示会の予定が来週まで延びて 搬出の日が1週間延びたのだ。 3時間かかるというので 朝から遠足の気持ちで リュックサックに 心持ちうきうきを詰め込み 電車を乗り継ぐ。 初めて降りる駅のホームの…

逃亡したいような四月

五月の準備をしつつ 六月のことを考え 四月の仕事が収まることに胃を痛める。 じゅうぶん 勤勉ではなかろうか。 緩急ない勤勉さだ。 家の中でくるくる時計が回っていく 時間が足りないことに 腹をたてるがその怒りに行き場はない。 気がついたら 桜は散って…

ひざをやわらかく曲げる四月

ここ数年ひかなかった風邪を、二月と四月に続けてひいた。風邪を理由に 花冷えの雨の日にぬくぬくと眠る。コップに溢れそうな水の底に膝をかかえて眠る。目覚めたら、薄暗がりの部屋は時間もわからないからまた眠る。魔法にかけられたように、眠っても眠って…

走りながらはじまった2017年と「いつかしの月」のこと

「いつかしの月」という物語を舞台の上に乗せた。歌とかたりの公演。そのことについてすこし書きたい。額田王のファンタジーは、ほんとうはSFとして書いていて、歌語りのメンバーとの話し合いで万葉をテーマにすると決まった時額田で書くしかできないだろう…

作りかえられた記憶とかつての約束と幸せの城について

しあわせ。 と不幸せ。 それを決めるのは自分だよと言えば、 それは諦めろとか、 高望みするなとか。 そう言うことなら違う。 しあわせは誰かにしてもらうものではなくて 自分が作り上げる城。

鳩と鴉と鯖猫

一匹の鯖猫が庭の物置きの中で仔猫を産んだのは昨年の夏家族はいつか巣立ってお母さん猫のだけご飯を食べに来るようになった野良猫の彼女は決して触らせてくれることはないが扉を開けたら外から出入り自由なリビング横のサンルームとリビングの私達と同じ時…