余白-コトバの外側

白と黒の間に世界は無限に在る

目的地の途中の降りたことのない駅で次の電車を待つ間

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風の森という名前の美術館に

 

行く時間をやっと見つけた。

 

展示会の予定が来週まで延びて

 

搬出の日が1週間延びたのだ。

 

3時間かかるというので

 

朝から遠足の気持ちで

 

リュックサックに

 

心持ちうきうきを詰め込み

 

電車を乗り継ぐ。

 

初めて降りる駅のホームの向かいの緑が夏の色

 

ここから緑はさらに深く

 

風の森は緑の濃さの先にあるらしい。

 

先月まで、どこか瓶の底でユラユラしていたものが

 

クッキリと形が見えてきて

 

早く描きたい。

 

描くものが見えているとき

 

私は一番元気だ。

 

 

 

 

 

椰子の木は唄う、南風は運ぶ。唄は滑らかな海をわたる。

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南の島の家に

 

波と風を描きたいと思った。

 

風は扉を開けてすぐの玄関に。

 

波は横たわり休む間に。

 

風は細い空気の動き

 

椰子の木にまとわり

 

島の記憶を運ぶ。

 

海岸に寄せる波が

 

風の中に

 

潮をのせる。

 

そんな筆の運びを想う。

 

山に守られて育ったわたしは

 

海をよく識らない。

 

山を越えて内陸に吹く風は

 

どこか滋養を湛えている。

 

島に来る風は

 

どこか肉を削ぎ落とした

 

晒さな音がするのではないか

 

椰子の葉を通り過ぎる時も。

 

 

 

 

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六月の青い水の底

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ふたつの大きな出し物を終えて

 

もう夏には何もしない。

 

ずっと水面でぷかぷか浮いていた

 

「やりたい事の泡」が

 

ゆっくりと丸くなって

 

水の底に落ちていく。

 

すとんすとんと

 

綺麗な丸になって、しばらくそこで熟すのだ。

 

泡が「実になろう」と決まるのは

 

決意というより時期だ。

 

何もかもがわぁわぁ生まれる

 

騒がしい春が過ぎて

 

夕暮れが青くなる季節


六月はいろんなことが

 

静かに決まる月なのだ。

 

 

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南の島の端っこに風の通る道をみつけに

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走るときは

 

前を見ていないと

 

時々危ないわけなのだが

 

何かにぶつかったり

 

道を間違えたり

 

そういう類の失敗について。

 

しかしながら

 

ここ数ヶ月は

 

走りながら見ているのは前でも後ろでもなく

 

横でもなく

 

私自身のなかだ。

 

今走っている道と

 

私の中にあって

 

もやもやと

 

うねうねと

 

定まりのよろしくない

 

道のようなもの

 

ハイビスカスの花と

 

静かな海と

 

風に歌う椰子

 

そんなものを描くために

 

大きな筆を新調した。

 

来月はみつけに行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間が足りない夏に小さな別離をいくつか課す

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にぎわいの家の蔵展示。

 

茶屋町のスロウデイ。

 

そこに割り込む沖縄のゲストハウス。

 

こんなことばかりしていたら

 

楽しすぎて破産しそうな予感、

 

今日

 

やることを選ぶべきという言葉をもらった

 

そうなんだろうなと

 

少し前からわたしも

 

どこかで気がついていた。

 

自分のなかで

 

少しでも「ん?」て感じたら

 

出しかけた一歩は

 

引っ込めてもいいのかもしれない

 

時間だけが

 

平等に24時間しかないとしたら

 

もっと描く時間をつくるべきなんだろな

 

半年前、今年こそ

 

腰をすえて描くことと向き合おうと

 

思っていたはずだったが

 

今まではかからなかった声があちこちから

 

そうなると

 

持ち前のもったいない精神稼働。

 

もったいない精神は

 

よくないよ。

 

捨てることこそ

 

誠意。

 

あらゆる意味で。

 

逃亡したいような四月

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五月の準備をしつつ

 

六月のことを考え

 

四月の仕事が収まることに胃を痛める。

 

 じゅうぶん

 

勤勉ではなかろうか。

 

緩急ない勤勉さだ。

 

家の中でくるくる時計が回っていく

 

時間が足りないことに

 

腹をたてるがその怒りに行き場はない。

 

気がついたら

 

桜は散ってる。

 

そんなことでいいのか

 

とにかく、

 

まったく気持ちが進まない。

 

 

 

 

 

 

ひざをやわらかく曲げる四月

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ここ数年ひかなかった風邪を、

二月と四月に続けてひいた。

風邪を理由に


花冷えの雨の日にぬくぬくと眠る。

コップに溢れそうな水の底に膝をかかえて眠る。

目覚めたら、薄暗がりの部屋は時間もわからないからまた眠る。

魔法にかけられたように、眠っても眠っても眠る。

起きたら百年過ぎていそうなくらい眠る。

 

シチューの中のニンジンがとろとろ溶けそうなくらいに眠る。

目覚めたら、世界はきっと春なのだ。

ぴょんぴょん飛び跳ねる春なのだ。