余白-コトバの外側

白と黒の間に世界は無限に在る

調律

雑音に乱されたこころを

ひとつずつ在るべき場所に戻していく

怒りは騒がしいことではなく

それによってざわと動いたこと

指先は右脳に

眼差しは左脳に

肌の数ミリ上でとらえる感覚

左足の出し方右足の引き方

頂点は空につながって脊髄を中心に手足はまわる

音なき音を聞く

音を発するより

躰の中で響かせたい

頭の頂点に数千の鈴をさげて

神楽を舞おう

 

 

 

雨の名前

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暦のうえでは大暑、あと十日程で秋の気が立つという季節の実際は、長梅雨がやっと開けて台風が待ち構えたようにやって来た。

本棚の隅に「雨の名前」という本があってはらはらとめくる。

白雨は夕立、俄雨。天泣は天気雨。

夏の暑さを鎮めるかの雨は涼雨、これはもう晩夏の雨であるらしく。

催涙雨は旧暦の七夕の頃の雨で今で言うと秋の

雨。万葉集でも七夕の歌は秋の歌。洗車歌も同じ頃、牽牛が逢瀬のための牛車を洗う雨だとか。

 

 

 

 

 

月の舟(蒼き森と月 挿入歌)

 

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ほの蒼き空のしじまを

愛しいそなたを胸に抱いて

そなたを見送る 森の梢が

悲しみの風にゆれている

行先は旅人しらず

白き月の小舟でゆこう

どこまでも そなたを抱いて

 

天紅き時のゆうべに

愛しいそなたを胸に抱いて

そなたを見送る 群れの小鳥が

弔いの歌を鳴いている

その歌は詠み人しらず

白き月の小舟でゆこう

どこまでも そなたを抱いて

白き月の小舟でゆこう

どこまでもそなたを抱いて

ゆめはいつも

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合唱団アンサンブルAiさんの団歌のための作詞。

白い襟ににブルーのリボン
恋よりもおしゃべりが好き
少女のころの雨の帰り道
ぬれて藍にとける つゆ草の花
花は歌う花は歌う
ゆめはまだ けむる霧のなか

春の枝にさえずるカノン
呼ぶ声もどこか不器用な
草萌えて芽吹くはじまりの季節
ともに愛をかたるうぐいすの声
鳥は歌う鳥は歌う
ゆめは明日いのち育つこと

海を渡る真白の帆船
汐風もあすは街の上
いくたびも出逢い別れては出逢う
めぐり相いかさねる二人のために
風は歌う風は歌う
ゆめはほらいつもそこにある

あいは歌うあいは歌う
ゆめはほら君のそばにある

変態【蛹の中の幼虫は安らかなのか?】

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青虫の眠りが覚めたら

すでに華麗なる蝶なのだという夢を

蛹の中のモノはみていない

そのような約束を神はしない

殻は柔らかすぎて鎧にはならない

あやふや過ぎてゆりかごにもならない

ただ、閉じるという意思表示にすぎない


閉じた世界にも

外界の音は明確に透けて届く

そのものは

不安と恐怖にのたうちながら

粛々と時を編む

内に溜める精神だけが

この変態の糧なのだ